転職情報誌【タイプ】 2004年6月号
Type版「マネーの虎」 社長、僕を買ってください!
ソフト・オン・デマンド株式会社
代表取締役 高橋がなり氏
宅配便ドライバー、TV制作会社を経て、2度の起業~倒産を経験
した後にソフト・オン・デマンドを起業。AV界に革命を起こす。(同社
URL:http://www.sod.co.jp/)
株式会社チャンスイット
代表取締役 社長 辻 誠氏
大学院時代にソフトハウスを起業したが、バブル崩壊により自主清算。フードサービス企業での契約社員を経て、
懸賞サイトを運営するチャンスイットを起業。 http://www.chance.com
ハドソン・グローバル・リソーシズ
消費財&インダストリアル部門 代表 小松俊明氏
住友商事~海外での起業経験を経てヘッドハンターに。主に外資系企業の転職事情に精通し、高水準な実績を残し知る人ぞ知る存在。
失敗転職者・1人目 / 失敗転職者・2人目
大手外資系コンピュータメーカー 営業
国生和人氏(仮名・28歳) 「転職先の仕事内容に満足できない」
オフィス家具メーカーにて約3年の間、営業職を担当。法人顧客を相手に営業手腕を発揮し、新規開拓賞を獲得。その後、
実力主義で知られる今の会社へ転職。給与(年収700万円強)や待遇面、経営方針などには満足しており、自身もそれなりの成績を上げている。
ただし、法人向けコールセールスという仕事内容に不満を感じている。顧客と直接会う機会がほとんどなく、
貢献しているという実感が得られないことに気づき、悶々とする日々。
高橋 電話でのやりとりだけで営業していく今の仕事だと、 お客さんとの関係が希薄な感じがしてやりがいを感じられないということだよね? じゃあ聞くけど、 やりがいを感じるけれども年収は200万円という仕事と、全然面白くない内容だけれども年収1000万円の仕事があったら、 どっちを選ぶんですか?
国生 間違いなく前者です。
高橋 だったら答えは簡単ですよ。収入を気にしないならば、 満足できる仕事を探してもう一度転職すればいい。
国生 でも、今の会社は個人目標に対するコミットメントが強く求められるので、 ビジネスマンとしての実力がつく環境であることは確かなんです。将来は独立してNPOを運営したいと考えているので、この魅力は捨てがたく… …。それに、本当にトップクラスの営業成績を残せば、「外勤担当」としてお客様と直接やりとりができるようになるので。
高橋 それで、今の会社を辞めてやりがいをとるか、留まるべきかで悩んじゃってるわけだ。
国生 はい。とはいえ、上から与えられたミッションをクリアしていくだけの仕事内容に、 「このままでいいのか」と思う気持ちもありまして……。
辻 私は組織の歯車になるのではなく、自分のやりたい仕事にだけ集中したいと、 大学院を卒業してすぐに起業したんですね。稼ぎが少なくって非常に苦しかったけれど、 好きな仕事をしていたから収入の低さは気にならなかった。もしも国生さんが私と同じような考え方なら、大企業ではなく、 従業員が20~30人程度の会社で営業力を磨くのも1つの選択肢ですよね。人の2倍は働かないとダメだけど、主体的に動くことができるし、 小さな会社ならば組織の全体像を把握できるから独立するのにも役に立つ。ちなみに、「従業員20~30人の会社」っていうのは、 当社のことですが(笑)。
国生 辻さんの会社でチャンスをいただけるなら、飛び込んでやってみたいという気持ちもあります。
小松 国生さんが今お勤めの会社は、「プロフェッショナル」を育てる社風があることで有名です。 そんな中で、シビアな業績目標をクリアしていくだけの営業力をお持ちならば、おそらくどこにいってもある程度は通用すると思います。ただ、 私がすごく気になるのは、「国生さんが結局何を優先したいのか」がいま1つ見えてこないこと。それがはっきりしないと、 どこに転職しても悩みは解消されないと思いますよ。
高橋 「絶対にこうすべき」って答えはないし、 辻さんの会社に行けばあなたの悩みが解決するかもしれない。ホントは僕も、国生さんは28歳とまだ若いし、 プロフィールを見たら営業力もあるみたいだから、ウチに誘おうかと思ってたんです。でも、ひと通り話を聞いて、あきらめました。 国生さんが今の会社で苦しんでいるんなら、辞めない方が君のためだと思う。
小松 私も同感です。
国生 えっ、それはなぜですか?
高橋 テレビの世界にたとえれば、今の国生さんの立場はADと同じだと思うんです。 ディレクターになりたくてこの世界に入ったのに、ADはこきつかわれるばっかりなもんで、嫌になって辞めちゃおうとしてる。 「こんな小間使いをしてたって役に立たない」ってね。でも僕はそうじゃないと思うの。ディレクターとADは確かに全然違う仕事だけれども、 小間使いでも「通過儀礼」だと思って我慢していれば、必ず何かしら学ぶべきものがあるんですよ。そして、AD時代に苦労した奴ほど、 いいディレクターになれる。やりたいことは、そうなった時に追求しても遅くないでしょ。
小松 転職の世界も同じですよ。プロ野球選手でたとえるならば、 将来の夢が監督になることだとしても、今ショートを任されているのなら、まずはそこで名手になるように努力すべきなんです。なのに、 今すぐ監督になりたいと考えてしまう人がことのほか多いんです。そういう人こそ、いざ監督になった時に失敗する。「名ショート」 として何かしらの得意技を身につければ、監督になってからも活かせるものが手に入るということに気付いてない。国生さんの場合も、 今は自分の理想とするような営業ができないのかもしれないけれど、成長できる環境があるわけだし、 そこで何かしらの得意分野を作ってから転職しても遅くはないと思います。
辻 たしかに弊社の営業でも、成功している人は「いい旦那さん」 になりそうなバランスのとれた優等生ではなく、どこかクセのある人だったりします。企画力なり提案力なり、何か1つ「これだけは負けない」 という強みを得てから動くのもいいんじゃないですか。
国生 そうですか……。皆さんのお話を聞いてみて、 もう少し今の会社で頑張るのもいいんじゃないか、と思えるようになりました。ありがとうございました。
【年収鑑定結果】
高橋氏
360万円
今の会社に残るべきだと思うけど、もしこの額で来てくれるなら歓迎します。
本当はもっと高いお金を出してもいいくらいの腕はありそうだけど、「収入が下がってもいいから仕事内容を」という言葉を行動で示すならば、
「ここまで下がってもいいからやりたいんだ」という気概がないと。そしたら喜んで採用しますよ。
辻氏
300万円 (+成功報酬 5~100万円)
年収にはこだわらないけれど、やりがいが欲しいというのなら、300万円あればともかく暮らしてはいけるでしょう。
あとは成功報酬で増やしていけばいい。営業マンとして優秀であることはわかりましたから是非来てほしいけれど、
もしもウチに来れば悩んでいるヒマなんてありません。納得のいく仕事内容が何なのか、
もっとハッキリとさせてから考えても遅くはないと思います。
小松氏 600万円 (内40%が固定、60%がターゲット収入)
国生さんの実績ならば、外資系企業なら600万円前後の年収は確実です。つまり、 収入面でいえば現職でもきちんとフェアな評価をもらっているということになります。できれば今突き当たっいる自己停滞の壁を乗り越えて、 次のステップへのビジョンをもっと明確にした上での方がヘッ ドハンターとしても最適な仕事、最適な環境を提案できると思います。
