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「デキる上司は休暇が長い」
小松俊明 著 (あさ出版)


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ゲイナー2004年7月号 取材 本文より

仕事力が上がらない?それは基礎を軽視しているから!

今回登場する10人の「仕事の達人」が全員一致で語っていたこと、それは基礎の重要性だ。鈴木義幸さんや白石崇さん、小松俊明さんらは、ヒトをもっと活用すべきだと訴えている。ビジネス書を読んだり、インターネットから情報を仕込むのも悪くはないが、何よりも情報を膨大に持っているのがヒトというメディア。生身の人間とのやりとりはコミュニケーション能力を高めてもくれるし、自分が得た知識を相手に伝えていく過程で、その論理や説得力をより強化していくことも可能になる。
 船川敦志さんは、さらに根源的な基礎を指摘。それはヒトとつながる上で重要になる国語力だ。船川さんはNHK教育テレビでビジネス英会話の講師も務める人物だが、「そもそも正しい日本語を話せない人が、英語を勉強しても、有効なコミュニケーション・ツールとして機能するわけがない」と手厳しい。
「仕事には必ず相手がいます。その相手に的確に意志や考えを伝えられない。あるいは相手が言っていることを正しく理解できない。そういう状況にもかかわらず、資格の勉強を突然始めたって、効果は望めないんです」(船川さん)
 山崎元さんも「仕事の質は知識かける表現力の掛け算」だと説く。知識ばかり膨らんでも、掛け算のもう一方である表現力が稚拙では無意味だ。
 毎日目にする言葉や文字から国語力を、数字から算数力を高めていくことで、表現力という基礎を強化しよう。

試験勉強とは違う!一夜漬けの暗記では知識は身に付かない

 書店でなんとなく選んだビジネス書をぱらぱらとめくっただけで仕事力向上の努力をした気になってしまう人が相変わらずいる。そりゃあ、本を読まなければわからないことはたくさんある。でも、この程度では不足を埋めるだけの作業。もっと、「今より上の仕事をしたい」と真剣に思うなら、短期間で深い知識を得なければいけない。ノウハウを「知る」だけでなく、「使える」ようにならなければいけない。
 土井哲さんは「実は日本人の多くは与えられた問題に正解を出す能力は高いんです」と語る。「でも、答を知っている人はいても、それを実行に移せる人、つまり"できる人"が少ない」
 学生時代に「知っている」だけで優秀と言われた人がビジネスの現場で伸び悩むのも、「できる人」になるための学習をしていないからなのだ。
 山崎元さんが実践しているという「はさみうち」学習法は、単に短期間で知識を吸収するためだけの手法ではない。
「なまじ著者の意見、見解が加わったビジネス書を読むよりも、入門書と専門書から必要な知識を素材としてもらう。それを材料にどう考えるかは自分で」
 というわけだ。白石崇さんは、得た知識を他者にアウトプットすることで理解を強化せよ、といっているし、土井哲さんも書物で得たノウハウは実際の仕事に応用して初めて自分のものになるといっている。頭で覚える段階を超えて、身につけて利用する知識吸収が必要なのだ。

現地・現物で実体験しなければ、生きた知恵は獲得できない

 では、どうすれば知識を身体的に会得できるか? 白石崇さんや小松俊明さんが薦めるように、得た情報や知識をメールや自身のサイトなどで表現し、他者と意見交換したりするのも1つのやり方。土井哲さんの「ノウハウ本から得た手法を自分の仕事で試す」というのも有効だ。企画書作成についてのノウハウ本を読んだならば、頭だけでわかった気になっていないで、実際の仕事の現場でノウハウを駆使した企画書を書いてみる。プレゼンの本を読んだなら、自分のプレゼンに新しいやり方を導入してみる。川口一晃さんなどはもっと踏み込んで、少額でいいからリスクを背負って実際に資産運用してみるべきだと説く。共通しているのは体験学習という発想。自分でステージに上がり、行動するという学習法だ。
 なにも体験学習の教材や素材は書物ばかりではない。阪本啓一さんは現地・現物主義を奨励する。郵便受けに入っているチラシや、近所のコンビニが本以上のことを教えてくれるという。
「時間や空間を限定せず、いつでもどこでも何か仕事に役立つものを得たい、という火を絶やさないようにする。すると見慣れた光景や、ろくに見ないで捨てていた物の中に面白い教訓やヒントが見つかるんですよ」
 なんでこの商品は売れているんだろう、ネーミング? 価格? デザイン? そんな火がともっていれば、いくらでも素材は見つかる。考える力で料理したなら、それをまたヒトにアウトプットしてみればいい。

偏差値型優等生はビジネスには不要!ではどうするか?

「現代はスペシャリストの時代、ゼネラリストは要らない」というような話はよく聞く。技術職の人や専門性の高い業界にいつ人ならば「じゃあ、この技術を、この専門知識を磨いて」と考えることも可能だろう。では、そうじゃない人は? 「得意ジャンルといわれても自分の場合、漠然としてるんだよなあ」という人は少なくないだろう。
「そんなに堅苦しく考える必要はないんです。何が好きなのか、それを見極められればいい」
 と水野与志朗さんはいう。また、船川敦志さんもこう語る。
「多くの人がベンキョウという言葉に拒否反応を示すのは、学生時代の経験からのはず。自分は何がしたいのか、どうなりたいのかを考える暇もなく、とにかく記憶して覚えて試験に受かればいい、という環境だったから苦痛に感じていた。社会人になったからには、そういう苦しいベンキョウはしなくていいんです。その代わり『何をしたいのか』が見つかるまではもんもんと考えなければいけません」
 見つかった後は、「目的がある」「好きなことに通じる」ものだけに、学ぶことが楽しくなる。この法則でも水野さんと船川さんの見解は共通している。阪本啓一さんのいっていた「火」も、自然とともることだろう。また、五十棲さんと水野さんは「専門性の追求」が能力の深さばかりでなく幅広さももたらす法則を指摘している。好き嫌いで選んでいいのだから、学生時代よりも楽しい。それが仕事術向上という学びなのである。

最高の学習室は職場、最高の師は周囲のヒトだと認識すべし

 小松俊明さんは敏腕ヘッドハンターとして活動している。大手外資系企業が求めている経営人材を紹介したりする人、となると「突出した技術や知識、輝かしい実績と職歴の持ち主」しか見ていないようなイメージかもしれないが、当の小松さんはきっぱり否定する。
「どんな企業でも求めているのは"仕事ができる人"です。仕事ができる人というのは、学術的な知識を持っている人ではなくて、人と一緒に大きな目的を実現できる人のこと。目の前にある仕事の中から問題点を抽出して、それを解決できる人です」
 例えば経理系の人材ならば米国公認会計士資格を持っているかどうかよりも、実在の企業がどんな状況にいて、どこから利益を得ていて、どこで問題を抱えているかを見抜く力があるかどうかの方がはるかに重要だと小松さんはいう。船川敦志さんも「結局問われるのはシカクじゃなくジカク」と表現する。土井哲さんが知識を行動という形で仕事の場におろすことの重要性を指摘するのも同様の観点から。水野与志朗さんや五十棲さんがいったように「好きなもの」を追求していいから仕事術の勉強は楽しい。ただし、何かを覚えるだけでは学んだことにならない。覚えたことは行動に移して、その経験から何を考え、何を感じるかが仕事術を引き上げる学びの瞬間。今はメディアもツールも豊富にある時代だが、忘れてならないのは、「ヒト」と「今の仕事」こそが最高の師になる、という普遍的真理なのだ。


取材文: 小松俊明の勉強法

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