読売ウイークリー 2005年4月24日号
働く男女の間で、定着した感のある「スキルアップ」。今回のアンケートでも、「特別に社外でスキルアップを行っている」と答えた人は24%いた。しかし、ブームに踊らされて、使えないスキルを必死に磨いている人も少なくないという。
「日本人は独特な向上心、勤勉さがあるため、スキルアップを熱心に行なう国民です。最近では、将来に備えてとか、転職の際に役立たせようとかいう目的でスキルアップに励む人が急増していますが、実際は仕事に直結する資格以外は意味がないケースが少なくないのです」と指摘するのは、外資系企業に多くの実績を持つヘッドハンターの小松俊明さんだ。アンケートでも、IT関連会社・技術職の女性(39)は、「外資系大手に転職するために、英会話を学んでいる」と答えている。また、医療品メーカー・事務職の男性(43)は、通信教育で資格試験にチャレンジしているが、その目的は、「会社を変わる時のプラスになれば」というものだ。
しかし、小松さんは、「当面の業務で必要がなかったり、専門外だったりする資格は、かえって転職の際には、マイナスに働くことが多い」と警鐘を鳴らし、その代表例として、MBA(経営学修士)やCPA(米国公認会計士)を挙げる。
「応募した営業マンの履歴書に『CPA』などと書いてあると、外資系の外国人幹部は、『なぜ、彼は営業職を離れて経理や財務部門を希望するのか』と決まって顔をしかめ、採用は暗礁に乗り上げるのです」(小松さん)
同様に、MBAも学歴の一貫に過ぎず、経営者としてスカウトされるのは、米国の上位10校の取得者だけと言われている。
「実は、採用側の求めるスキルと、転職希望者側が考えるスキルとには大きな溝がある。スクールなどに通って、どんなに熱心にスキルを磨いても、採用側は、この1年で新規顧客を何社開拓したとか、営業実績を通常の何倍達成したなど具体的な実績を求めているのです」
では、どのようなスキルアップを目指すべきか。小松さんは、国際線の客室乗務員に転職を希望するA子さんの例を挙げる。A子さんは、最低限できなければいけない英語はスクールで勉強していたが、それだけでは不十分と感じていた。そんなとき、航空会社各社が機内食を充実させようという動きがあるという記事を読み、栄養士の資格を取得。と同時に英語スクールでもヘルスケアの会話を積極的に練習した。この体験を、ある外資系航空会社の面接でアピールしたA子さんは、希望の職に転じて、幸福をつかんだという。将来のキャリアプランを睨んだスキルアップが不可欠なのだ。
